何がちがうの?アスベスト|廃石綿等と石綿含有廃棄物のちがい

保護具

アスベストと聞いてあの問題を思い出す方は多いと思います。

2005年に兵庫県で工場の周辺住民に健康被害が及んだといわれる事件です。アスベストは吸い込むとじん肺や肺がんのリスクが高まるという危険な物質です。日本語では石綿(いしわた、せきめん)といい、40年ほど前から使用が禁止され、いくつもの関連する法律が作られました。

法律によりアスベストに関係する廃棄物を石綿含有廃棄物等と定義されておりますのでこの記事ではその石綿含有廃棄物等の中身について詳しく見ていきたいと思います。

目次

石綿含有廃棄物等の定義

「石綿含有廃棄物等」グループの中には「廃石綿等」と「石綿含有廃棄物」があります。

廃石綿等が分かれただけで、ほぼ同じような名称ですが、「廃石綿等」と「石綿含有廃棄物」では結構な違いがあります。

廃石綿等とは

次のように定められています。

    • 建築物などに使われる材料に吹きつけられたり、含まれていたりしたものから除去された石綿
    • 上記の除去の作業の時に使われた作業着、保護具などの用具で石綿が付着している恐れのあるもの
    • 特定粉じん発生施設がある事業場で生じた石綿で集塵施設によって集められたもの
    • 上記の粉じん発生施設または集塵施設で使われた用具で石綿が付着している恐れのあるもの

具体的には、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール、バーミキュライト吹き付け、保温材、石綿含有ケイ酸カルシウム板2種等が廃棄物になったものが廃石綿とされます。

石綿含有廃棄物等とは

次に掲げる①と②が石綿含有廃棄物と定められています。

①石綿含有一般廃棄物nn工作物の新築、改築または除去に伴って生じた一般廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの

②石綿含有産業廃棄物nn工作物の新築、改築または除去に伴って生じた廃石綿等以外の産業廃棄物であって、石綿をその重量の0・1%を超えて含有するもの

具体的には屋根用化粧スレート、外壁サイディング、石綿含有ケイ酸カルシウム板1種など、石綿が補強材として添加されている建材を「石綿含有建材」といい、これが廃棄物になったものを石綿含有廃棄物と呼ばれます。

石綿含有産業廃棄物は、その名のとおり石綿を含んでいますが、セメント等で固定されているため通常の状態では石綿が飛散することはありません。その点はご安心ください。

 

処理の違い

 

事業者による処理

廃石綿等は特別管理産業廃棄物に該当するため、排出事業者はこれを運搬、処分、委託、及び管理するにあたって、特別管理産業廃棄物に関する基準に従って行わなければなりません。

一方、石綿含有廃棄物は特別管理廃棄物には該当しないので、通常の産業廃棄物の基準に従うことになります。

廃石綿等の処理

処理は撤去された廃石綿等を袋に詰めるところから開始されます。隔離した作業場内で専用の袋に詰め、固形剤もしくは安定剤を加えて飛散防止処理を行います。

さらに丈夫な袋に二重梱包して保管場所に仮置きします。撤去の際に使用した保護具や保護具のフィルターも廃石綿等に該当しますので同じように袋詰めします。

専用の袋に詰めて、いったん袋を閉じたらもう開けてはいけません。そのため、袋の中に入っているものはあとから内容物の確認ができないので、すべて廃石綿等として扱われることになります。

袋詰された廃石綿等は次のいずれかの施設に運搬し処理します。

    1. 管理型埋め立て処分(固定化または薬剤安定化にくわえて耐水性材料で二重梱包して埋める)
    2. 溶融(中間処理業許可施設)
    3. 無害化(環境大臣認定施設)

実際の処分では1の埋め立て処分がほとんどです。2と3の施設はまだまだ少ないようです。

石綿含有廃棄物の処理

法律に基づく届け出は必要ありませんが、自治体によっては条例で届け出を義務付けているところもあります。

石綿含有建材の撤去作業は、石綿障害予防規則という規則に関連して「作業レベル3」に位置づけられていて、通常の廃棄物とは分離して扱うことが決められています。しかし、上でも触れたように特別管理廃棄物には該当しないとされています。

実際の撤去作業では、作業衣、保護具を着用の上、散水等で石綿の飛散防止に気を配りつつ、極力割らないようにして人手によって撤去することが求められています。撤去された石綿含有廃棄物は袋に詰めたりシートで巻いてここでも飛散防止の措置をとったうえで、先ほどと同じ3つのいずれかの施設に運搬します。

アイコンNGなお、石綿含有廃棄物の中間処理は禁じられています。

絶対に行ってはいけませんので注意してください。

まとめ

いかがでしょうか。簡単に区分けすると、

〇廃石綿等ととは石綿そのもの、または石綿が付着した(おそれのある)もの

〇石綿含有廃棄物とは石綿を含む廃棄物のことです。

廃石綿等は特別管理廃棄物に該当します。特別管理廃棄物全般に言えますが、一般に生活しているわたしたちにとって、近づけたくないものを国は慎重に分別して扱うよう定めています。

そうは言ってもそのほとんどがすぐ身近に存在するものです。家族や周りの人たちのためにも正しい知識を持っていたいものです。

その他の特別管理廃棄物についてはこちらで解説しています。
正しい知識のために是非ご一読をお願いします。
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