建設業を営むなら押さえたい建設業法をさわりだけわかりやすく説明

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普段あまり気づかないかもしれませんが、私たちの暮らしは法律により守られています。

建設業界も例外ではなく、法律を作り規制することで業界に携わる会社のみならず、国民を守っています。

建設業許可は「建設業法」という法律に根拠を置いています。

建設業許可を取得して建設業許可業者となったら、この建設業法というルールを守りながら仕事をしなければなりません。知らず知らずのうちに法律違反をしていたということになれば命取りとなりかねません。

建設業許可業者として、建設業法に何が書かれているのかを知っているのは当然のこととされているのです。

目次

法律はちょっと苦手でも

「法律の条文なんて難しくていやだ」「条文を読むなんて面倒くさい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、なにもこれからマジメにnn「建設業に関係のある法律の条文を読んで一字一句暗記していきましょう!」

などと言うわけではありません。この法律がどういう目的で存在しているのかを簡単な言葉で説明していきますから、どうぞ少しだけお付き合いください。

知っていて損はありません。どこか頭の片隅に置いておいたほうが良い知識だと思います。

建設業法の成り立ち

ざっと目を通していただくだけで結構です。女性社員A_気づく_01

建設業法は昭和24年に制定されました。

その背景には、土建景気による建設業者の急増と乱立の結果、不当に低い価格で工事を請負うことによる、不正工事、建設業者の経営難、資金難が発生したことがありました。

さらに昭和46年に大改正があり、

    • 業種別許可制度の採用
    • 下請人の保護育成(特定建設業の制度創設)
    • 請負契約の適正化、不合理な取引関係の改善
    • 請負契約書に記載すべき内容の充実(注文者が地位を利用して不当に安い請負代金を定めることを禁止)
    • 下請負人の保護規定の新設

などが盛り込まれ、それまでの登録制度から許可制度になりました。

下に示す第一条はこの46年改正によりできたものです。

法律には目的がある

第1条  この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

考え方

大体法律の1条にはその目的が書かれているのですが、建設業法の1条は以下のようにまとめられます。まず、2つの考え方です。

    1. 建設業者の心意気の向上
    2. 建設工事の請負契約の適正化

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この2つを図ることによって、

    1. 建設工事の適正な施工を確保
    2. 発注者の保護
    3. 建設業の健全な発達を促進

この3つを目指し、さらに

公共の福祉(みんなの幸せ)を増やしていくことを目的としています。

これは目的という性質上、建設業界に関わる全ての人に関係していて、いわば建設業界の憲法ともいえる大きな意味を持つものです。

大きなものなので最後のほうが少し漠然としましたが、なんとなく身近に感じていただけたでしょうか。

具体的にあてはめてみました

建設業は、産業の基盤をつくるものです。建物や道路は国民の生活にとって当たり前のようにいつもそこにあるものです。

これを実現するために建設業法があり、その目的がいちばん最初の1条に示されています。この1条にわかりやすく具体例を当てはめてみるとこうなります。

施工能力もなく、お金儲けしか考えない不誠実な土木業者がはびこらないように、プロ意識の高い業者を育てるためにはどうしたらいいか。
工事内容が多種多様、屋外生産で天候の影響を受けやすいなど、生産性の低いこの産業を統合して完成をめざすにはどう手分けをして分業するかなど。
そういうことを考えることで、安全確実な工事をキープして、発注者を守り、建設業界の発展をを目指します。
その上で住宅・道路・電気・水道・学校・工場などの、個人や社会生活の基盤となる設備が整備されていくことで国民みんなの幸せを増やしていきます。

このような目的のために作られたと解釈できる法律です。

下請の保護

ここでは発注者の保護に触れていますが、建設業法がもう一つ保護しているものがあります。

それは下請業者です。

建設業法では一括下請負(丸投げ)を原則として禁止しています。その理由は丸投げをすることで、以下のことが起こるからです。

    • 発注者が建設業者に寄せた信頼を裏切ることになる。
    • 施工責任が曖昧になることで、手抜き工事や労働条件の悪化に繋がる
    • 中間搾取を目的とした、能力のないブローカー的不良建設業者が出現する
丸投げとはいいますが、投げる方だけではありません。受け取る方もいけません。
請け負わせることも、請け負うことも禁止です。
違反した場合には営業停止という重い処分が待っています。
丸投げについてはコチラの記事でくわしく解説しています。
建設業法でかたく禁止されている一括下請負(丸投げ)とは

まとめ

いかがでしょうか。法律はたしかに堅苦しく、難しい言葉で書いてある場合が多いですが、中身をみると多くの人にとって利益があるルールを作っているのです。

すべての産業の基盤となる建設業ですから、悪徳業者や手抜き工事が付け入るスキの無いように、また立場が強くなりがちな元請業者の思うがままにならないように上手くコントロールされています。

ちょっとここで知っておいても損はないと思いますよ!n

建設業法について興味を持っていただけたらコチラの記事もオススメです。もう少し個別なテーマをもって、解説しています。
建設業法をわかりやすく解説!シリーズ%e5%a5%b3%e6%80%a7%e7%a4%be%e5%93%a1a_%e6%8c%87%e7%a4%ba%e6%a3%92_01
元請と下請けの見積り契約はきちんと書面に残しましょう

安すぎない?不当に低い請負代金

コレ使いなさい?資材等の購入強制

どっちが負担する?やり直し工事

是非参考にしてください。

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