農地法で「農地」のことを定義しているのは当たり前ですが、農地の他に「採草放牧地」というものも定義しています。よく農地と並んで出てくる言葉なのですが、農地に比べるとややマイナーなイメージがあり、曖昧に認識されていることもあるようです。
この記事では間違えやすい部分にスポットを当てながら採草放牧地について見ていきます。
農地法上の定義
採草放牧地とは
農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものn
農地法2条1項
と定義されています。簡単に言うと、採草や放牧のための土地ということですね。ポイントは3つあります。
-
- 農地以外の
- 採草
- 目的に供される
ひとつずつ解説していきます。
1.農地以外の
最初にはっきり書いてはあるのですが、余りにあっさりしているので読み飛ばしやすく、読み飛ばすことでうっかり曖昧になりやすい部分だと思います。
つまり、農地以外の場合の限定なので、採草や放牧に使われているとしても、農地の定義に該当しているものは除かれます。農地の定義に該当していたら優先的に当然に農地とされます。採草放牧地にはなりません。
では農地とはどういう定義になっているかというと
「作物の生育を助けるための水やりや害虫駆除などの管理(=肥培管理)が行われている作物を栽培する土地」
となっています。これを当てはめると、放牧に使用している土地でも、肥培管理を行って牧草を栽培している畑は採草放牧地ではなく農地ということになります。nn逆に言うと肥培管理をせず、放置状態のような牧場・原野・山林などが採草放牧地になります。
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2.採草
ここでいう「採草」とは肥料や飼料、またはこれらの原料にする草や落ち葉を採取することをいいます。
ですので、耕作や養畜とは関係のない、例えばかやぶき屋根のためのカヤの採草は、農地法でいう採草ではありません。そしてそのための土地も採草放牧地とはいえません。
3.目的に供される
採草又は家畜の放牧の目的に供される土地でなければならないとされています。
「目的に供される」とは土地の所有者の意気込みや土地登記簿の記載には関係なく、農地の場合と同様に、土地そのものの現在の状況、事実状態(現況)にもとづいて客観的に判断されます。
まとめ
繰り返しになりますが、採草放牧地は農地では無いということがポイントです。また、採草放牧地の権利移動、転用はほとんど行われていないようです。参考にしてください。