農地を宅地などに転用をしたいあなたにとって、「目的の農地がどこにあるのか、何に区分されているのか」は非常に興味があることだと思います。
つまり、簡単に転用できる区域なのか、そうではなく手強そうな地域なのかというところです。ここでは農地転用の難易度を決めるポイントとなる市街化区域と市街化調整区域について見ていきます。
市街化区域とは
すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域n<都市計画法7条2項>
とされています。
都市計画区域として指定された区域のうち、すでに市街地となっている区域や公共施設を整備したりして積極的に整備、開発を行っていく区域ですので、「農地はここにはなくなっても構わない」という考え方で物事を進めていく区域です。
日本の国土の3.8%を占めています。
区分の定め方
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- 都道府県では都市計画区域について都市計画に市街化区域と市街化調整区域を定めることができます。
- また、政令指定都市ではこの区域を定めなければならないとされています。すでに都市化している政令指定都市では他よりも厳しく規制されているということです。
市街化区域の特別ルール
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- 1000㎡以上の規模の開発行為を行おうとするものは都道府県知事から開発許可を受 けなければならない
- 建築物を新築や増改築、移転しようとするものは特定行政庁、または指定確認検査機関に申請して、建築確認を受けなければならない。
- 2000㎡以上の土地取引については国土利用計画法に基づく届け出を行わなければならない
- 農地法による、農地転用については都道府県知事・農林水産大臣の許可は不要で、市町村に置かれる農業委員会への事前の届け出ですむ。
市街化調整区域とは
都市計画法では「市街化を抑制すべき区域」とされています。
市街化区域と対になる存在です。文字通り、市街化するのを調整して歯止めをかける地域です。
この区域では原則として、開発行為、都市施設の整備も行われません。なるべく新しい物が建つのを抑えて、農林水産業などの田園地域とすることが予定されています。
日本の国土の約10.3%を占めています。市街化区域が3.8%ですから、厳しく規制される市街化調整区域のほうが多いことになります。
市街化調整区域の特別ルール
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- 規模の大小にかかわらず、開発行為を行おうとするものは都道府県知事から開発許可を受けなければならない。
- 建築物を新築や増改築移転をしようとする者は特定行政庁に申請して、建築確認を受けなければならない。
- 地区整備計画において、容積率の最低限度、建築面積の最低限度、高さの限度を定めることはできません。
- 5000㎡以上の土地取引は国土利用計画法に基づく届け出を行う。
- 土地取引の広告をする際には「市街化調整区域・宅地の造成及び建物の建築はできません」16ポイント以上の文字で表示しなければならない。
都市計画法上の区域
上で説明しました市街化区域や市街化調整区域というのは都市計画法によって定められた区域です。大きくは都市計画区域の中に属します。

このような区域区分は
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- 無秩序な市街地の拡大による環境悪化の防止
- 計画的な公共施設の整備
- 都市近郊の優良農地との健全な調和
など、地域の実情に即した都市計画のための根幹だとされています。
とは言え近年、計画的な市街化を図り、市街化調整区域を定めると開発行為や農地転用について厳しい規制が行われることから地域の活性化の障害になるとの理由で、都市計画を変更して、市街化区域と市街化調整区域とを区分しない県も現れています。
まとめ
市街化区域と市街化調整区域では開発行為や農地転用をしたい人から見ると、目指す方向が正反対を向いています。
市街化区域はそういう人に優しく、市街化調整区域では、厳しいイメージです。
しかし、全体としてみてみると、バランスを取ってそれぞれの区域の役割を果たしましょうということではないでしょうか。