「貸した農地を返してくれない!」
「隣の人が境界(筆界)を越えていると主張してくる!!」
などなど、農地についてのトラブルの話を聞いた事はありませんか?相手の有ることですから、お互いが尊重し合いながら冷静になってじっくり話し合えば解決できる。。。これが一番望ましいのですが、やはりどうしても話し合いがこじれてしまうという事もあります。そうなってしまったらもう、当事者同士で解決するのは難しいでしょう。
そんなときに解決するための方法が3つ用意されています。この記事では農地についての紛争を解決する方法を解説していきます。
この記事を読むことで、まだトラブルになっていないあなたも、いざという時のための心の準備ができるでしょう。
農地の紛争解決の方法
農地にかかわらず、争いごとが起きたときの解決手段でいちばん最初に思いつくのが裁判ではないでしょうか。しかし裁判となると敷居が高く、周りに裁判に詳しい知り合いがいるという事もまれですから、モメ事の他にも余計な不安が広がるというものです。
しかし、そうは言っても裁判にもいい部分がありますのでここでは民事訴訟を含めた3つの解決方法を紹介します。n
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- 民事訴訟
- 農事調停
- 農業委員会による和解の仲介
ひとつずつ見ていきましょう。
1,民事訴訟
民事訴訟は農地のことに限らず、広く私人間の生活関係に関する紛争、利害関係の意見のぶつかり合いを国の力によって法律的に、また強制的に解決する制度です。
具体的には裁判所に訴訟を提起するということになります。いわゆる「うったえてやる!」「出るとこ出ましょ!」というのはこの事を言っています。
メリット
法律的に白黒をはっきりつけるという意味では最良の方法です。判決が確定すれば判決の内容を争うことができなくなります。相手が判決に従わない場合には判決の内容を実現する強制執行という手段もとれます。
デメリット
裁判にお金と時間がかかります。
普段の生活をしていた人がいきなり裁判の手続きをこなせるということはまず無いと思いますので、法律の専門家である弁護士に頼むことになり、相当の費用がかかります。
2,農事調停
農事調停制度は民事調停の特則として設けられている調停のひとつです。
農地または農業経営に付随する土地、建物などの貸し借り、その他の利用関係の紛争を民事調停委員に介入してもらって紛争当事者が互いに譲り合い、合意に基づいて解決をはかる為の制度です。
手続は原則として地方裁判所に調停の申立をして行うことになります。調停は原則として裁判官である調停主任と民事調停委員2名以上からなる調停委員会でおこないます。
メリット
訴訟に比べて手続や制約が緩やか、迅速、簡易、費用も少額です。また非公開というのも大きなメリットです。さらに成立した調停は裁判による判決と全く同じ効力をもちます。
デメリット
農林水産省の小作管または都道府県の小作主事の意見が反映されるようになっており、農地法の趣旨に従った方向で調停がされる事になっています。このことが少し気になる場合もあるでしょう。
3,農業委員会等による和解の仲介
農業委員会等による和解の仲介制度は、農業委員会または都道府県知事が関与して紛争解決の糸口を見つけ出し、早期に紛争解決を図り農地法の円滑な運用に役立てていこうという制度です。
手続は当事者の双方または一方から農業委員会に申し立てを行います。申し立てがあると農業委員会の委員長が農業委員の中から3名の仲介委員を指名し、この3名が仲介に入ります。
農業委員は必ずしも法律の専門家ではなく、また調停委員のように厳密な基準はありませんが、地域の実情をよく知っているため、紛争の経緯や核心をよく知り得る立場に有るので、より具体的な解決策が提案される場合が多いと考えられています。
メリット
調停に比べてさらに手続が簡単です。また、この仲介で成立した和解の効力はあとから覆すことができません。裁判所は関係のない手続なので、抵抗感が少ないと感じられるかもしれません。
デメリット
和解内容を後日争えなくなるという点は農事調停などと似ていますが、裁判所の判決ほどは効力がありません。つまり、強制執行まではできないのです。
和解不成立の場合もあります。当事者間で合意ができず、和解成立の見込みが無いと判断された場合、仲介人は和解の仲介を打ち切り、手続終了となってしまいます。そうなると当事者は裁判などの他の手続きを探さなければなりません。
まとめ
いかがでしょうか。民事訴訟、農事調停、和解の仲介という3つの解決方法があります。各制度ごとに特徴がありますので、どれがいいと一概にはいえませんが、まずは当事者同士お互いに譲歩して話し合うということから始めて見るのがいいと思います。
相手に勝つということよりも、争いを止めるという気持ちがあるといいのではないでしょうか。