農地転用の許可を取ろうとしているその農地が、第3種農地であった場合は他の農地区分に比べてとても話がスムーズに進むでしょう。
5つの農地区分のうちこの第3種農地だけが原則農地転用許可となっています。第3種農地は市街地化の状況から見て、転用しても農業生産への影響の少ない農地だからです。
この記事では5つの農地区分のうち一番規制が緩やかな第3種農地についてみていきます。
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第3種農地とは
市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地で政令で定めるもの
この農地は農業上の利用の確保の必要性が低いことから、原則として農地の転用は許可されることとなっています。
また、集団的に存在する一団の区域内にある農地であるなど、第1種農地の要件も満たしている場合がありますが、その場合には土地の合理的計画的な利用を図る観点から第3種農地の要件が優先されます。ただし同時に甲種農地の要件を満たす場合には甲種農地に区分されます。
つまり、同時に複数の農地区分の要件を満たしている場合は規制がゆるい方に区分されるのですが、甲種農地だけはいつも優先するということです。
具体的には農用地区域以外の農地であって、次に掲げる区域内にある農地です。
道路、下水道、鉄道の駅などの公共施設等の整備の状況がある程度まで達している区域
ある程度とは具体的には
- 水道管、下水道管またはガス管のうち2種類以上が埋設されている道路の沿道の区域で、容易にこれらの施設の恩恵をうけることができ、さらに申請にかかる農地から500メートル以内に2つ以上の教育施設、医療施設その他の公共施設等が存在すること。
- 申請に掛かる農地等からおおむね300メートル以内に次に掲げる施設が存在すること
鉄道の駅、高速道路のインターチェンジ、都道府県庁、市役所、町役場、村役場、その他バスターミナルなど、これらに類する施設
宅地化の状況が次に掲げる程度に達している区域
1,住宅用、もしくは事業用に使う施設、または公共施設などがひとまとまりになっているとみなせること。
これは市街地の程度までに宅地化が進んでいるということで、住宅、事務所、工場、資材置き場、駐車場、公園、学校などの施設がひとまとまりになっている区域に、農地が点々と存在している状態のことです。
2,街区の面積に占める宅地の面積の割合が40%を超えていること
これは、全体としては市街地までには至っていないが、特定の街区だけを見れば市街地と同程度の宅地率を有し得る状態のことです。
この場合の宅地には住宅などの建築物の敷地のほか、運動場施設、駐車場などの都市的な土地利用を行っている土地は含まれますが、農業用施設用地や単に耕作放棄されている農地は含まれません。
3,都市計画法第8条1項第1号に規定する「用途地域」が定められていること。
不動産の情報を調べたことのある人はご存知かと思いますが、用途地域とは都市計画法で定められている地域地区のひとつで、住居、商業、工業など市街地のおおまかな土地利用を定めるものです。第一種低層住居専用地域などの12種類があります。
これによってまさにその地域の用途を指定してゴチャゴチャ混在するのを防ごうとしているのです。
まとめ
転用したい農地が第3種農地なら、原則許可が下りることになっていますので安心ですね。ただ、第3種農地の他に甲種農地の要件をも満たす場合には甲種農地に区分されてしまいますので、残念ですが原則としては不許可となってしまいます。
まずは、対象となる農地がどの農地区分に当てはまるのかを調べてみましょう。