通常、農地を取得した人は、その農地の存在する市町村の農業委員会に届け出なければなりません。
届け出の義務
農地法3条により、「農地について権利を取得したものは、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない」と規定されています。
遅滞なく
ここでひとつ気になるのが「遅滞なく(ちたいなく)」という言葉です。法律ではよく出てくるのですが、「遅滞なく」とは具体的にはいつまでのことでしょうか。
農林水産省の「農地法関係事務の処理基準について」によると、
「遅滞なく」とは、農地等についての権利を取得したことを知った時点からおおむね10か月以内の期間とする。
とされています。10か月というと結構な余裕があるように感じます。あまり急がないでもいいんだ、という印象があると思いますが、これに安心してしまわずに、早く出してしまいましょう。
相続で農地を取得した場合
相続で農地を取得した場合も、農地法3条の取得者に該当するため、届け出をしなければなりません。
知った時から
さきほどの処理基準によると、取得したことを知った時点から10か月のカウントが始まりますので、農地を法定相続したことを知らない人は届け出義務の期間は進行しません。
法律上は被相続人が亡くなったらその瞬間に相続財産は法定相続人の共有になります。
例えば、農地を所有しているAさんが亡くなると、その瞬間に農地は奥さんのBさん、長男Cさん、長女Dさん、次男Eさんたちの「みんなの物」になります。
しかし、これは法律上の話なので、現実には次のような場合が考えられます。
DさんはAさんが土地を持っていたのを知らなかった。
EさんはAさんが土地を持っていたのは知っていたが、そのなかに農地があるとは知らなかった。
また、奥さんBさんからAさん死亡の連絡が回ってくるのにも時間がかかる場合もあるかもしれません。
このような場合は届け出義務の期間は進行しません。知った時点からカウントが始まります。
また、民法上は遺産分割の効力は相続時にさかのぼって生じるのですが、農地法上は相続発生時と、遺産分割時にそれぞれ権利を取得したと考えます。
したがって、被相続人の死亡を知った日から10か月以内と、遺産分割の日から10か月以内の2回、届け出を出す必要があります。
ただし、遺産分割の時の届け出が農地を相続した日から10か月以内であれば、わざわざ2度の届け出をすることは無意味になりますので1度で足ります。

罰則
農地等について権利を取得をしたものが届出義務を怠ったり、または虚偽の届け出をすると10万円以下の過料に処せられます。
農地を適正かつ効率的に利用するために、農業委員会が情報を把握することはとても重要な役割を担っているからです。
まとめ
いかがでしょうか。「遅滞なく」と「知った時点から」のことをご理解いただけたと思います。
この二つのことは法律ではよく出てくる言葉ですので、覚えてしまいましょう。是非参考にしてください。
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