農林水産省は2015年の遊休農地の面積が約13万5000ヘクタールだと発表しました。前年より1割減ったものの、使われていない農地が広く残された状態です。これはなんとももったいないです。
なんとかこの農地を有効利用していくために、農業委員会は遊休農地の所有者に利用意向調査を実施しました。自分で耕作しない人、自分では耕作出来ないけど貸付もしない人には来年度(平成29年度)から遊休農地の固定資産税の課税が強化されます。
Contents
遊休農地にしていると税金が高くなる?
農業委員会が農地中間管理機構と協議するように勧告した遊休農地は固定資産税が上がってしまいます。
流れとしては次の1→2→3のようになっています。
- 遊休農地の所有者が農業委員会から利用意向をきかれたけれど「放置したまま」
- 農業委員会が農地中間機構と協議するように「勧告」
- 固定資産税の評価額が「1.8倍」に!
したがって、まずは遊休農地にしないことが望ましいのですが、そうはいっても既に遊休農地になってしまっている場合もあると思います。それでも大丈夫です。万が一遊休農地となってしまった場合でも利用意向を確認されたら放置せずにきちんと意向を表明して、自ら耕作を再開するか、農地中間管理機構を通じて担い手に貸し付けることをしましょう。

「信頼できる農地の中間的受け皿」といわれています。リタイアするので農地を貸したい人などから農地を借り受け、農業参入を考えている企業や利用権を交換して分散した農地をまとめたい人などに貸し出す、公的な仲介機関です。各都道府県に1つずつ設置されています。一般に農地バンクと呼ばれます。
実際に税額が高くなるのはいつ?
課税強化は平成29年度から実施となっています。
固定遺産税が課される基準となる日は1月1日ですので、平成29年1月1日時点ですでに勧告を受けている遊休農地は平成29年度から固定資産税が高くなります。
翌年以降も1月1日現在で勧告されている遊休農地は、その年の徴収から高くなってしまいます。
すべての遊休農地が「勧告」される?
勧告の対象になるのは農業振興地域内にある農地で、具体的には次のような状況のときです。
・遊休農地または遊休化のおそれがある農地
・利用状況調査(農地パトロール)で再生可能と判断された
・利用状況調査で農地バンクへの貸付を表明していない
・利用意向調査から6ヶ月を経過しても改善されていない
・農業委員会から農地バンクとの協議の勧告を受けた
反対に次のものは勧告の対象になりません。
- 農地バンクへの貸付の意向が示された農地
- 農地バンクの事業規模上、借り受けない農地
- その土地が森林の状態になるなど、農業委員会が「再生不可能(非農地)」として判断したもの
どれぐらい高くなる?
1.8倍に増税されます。
1.8倍の考え方
簡単に説明します。本来、農地の評価額には農地売買の特殊性を考慮して、0.55が掛け算されています。つまり、通常の55%でよいとされているものです。それを勧告遊休農地には適用しませんということになりました。
つまり勧告遊休農地は100%(0.55を掛け算しない)なので、評価額は100%÷55%≒1.8倍となり、税額が約1.8倍となるというわけです。
課税強化だけで、おトクなことはない?
農地バンクへの貸付について特例が設けられています。これは減税の措置です。
保有する農地のすべて(自作用の10アール未満はのこしてもよい)を新たに農地バンクに10年以上貸し付けると、15年未満なら3年間、15年以上なら5年間、固定資産税が2分の1になります。
課税強化は平成29年度からであるのに対し、税制上の支援策は28年度から始まります。減税と課税をアメとムチで例えると、アメのほうがいち早く始まるということですね。
平成28年4月1日から29年年1月1日までにバンクに貸し付けると、平成29年度から固定資産税が2分の1になります。この特例措置は28年度と29年度の2年間と決まっています。
まとめ
遊休農地への課税強化!といっても、対象は「農業振興地域内にある対象となる農地」と限定されています。該当の農家の方は減税措置をうまく活用していただけたらと思います。また、該当でない農家の方も、遊休農地を減らしていく事を考えるいい機会にしていただけたら嬉しいです。