建設業許可|平成28年6月から施行の解体工事業新設のポイント
平成26年6月に建設業法が改正され、今まで28種類だった建設業許可業種に29種類目として平成28年6月から「解体工事業」が新設されました。
「解体工事業」は、「とび・土工・コンクリート工事業」から分離独立して解体工事だけを手掛ける専門業種となります。この解体工事業が新設されることにより、解体工事業登録制度のほうはどうなるのかというと、こちらは今までと変わりなく継続されます。
⇒解体工事業登録についてその全体像
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新設の背景
今の日本は高度経済成長期につくられた工作物や建築物の老朽化が進んでいます。それらの建て替えの需要が増えるとともに、自然災害に対する防災のシステムづくりが進められています。そのような工事をする時に、事故を防いで工事の質を確保する必要が出てきました。
例えばここのところ自然災害が本当に多くてとても不安ですよね。だからこそこうして法改正がされて、少しずつでもみんなの暮らしを守っていこうという動きがあるのです。
のような社会の流れから解体工事の需要が高まる中、劣悪、手抜工事による労災などを防止するため「とび・土工・コンクリート工事業」から独立して29番目の工事業として「解体工事業」が新設されたのです。
昭和46年(1971年)に建設業が登録制から許可制になり28業種が制定されて以来、実に43年ぶりのこととなります。
経過措置
施行日以降に500万円以上の解体工事を施工する場合は解体工事業の許可が必要になります。
しかし、すぐに切り替えなければいけないというわけではありません。それでは大変なことになってしまいますから、今回、時間的猶予が設定されています。
解体工事業の新設にあたり、二通りの経過措置が実施されます。
①ひとつめは、解体工事施工に関するものです。nn改正法施行時点(2016年6月1日)で、とび・土工・コンクリート工事業の許可を受けて解体工事業を営んでいる工事業者の皆さんは、引き続き3年間(2019年5月31日まで)はそのまま解体工事を行うことが出来ます。
法人の場合は定款変更が必要になる場合がありますので予めご注意ください。
とび・土工・コンクリート工事業の許可を持って解体工事だけをやっている業者さんが、とび・土工・コンクリート工事業から解体工事業に許可を切り替える場合は、まず解体工事業の業種追加をしましょう。そしてその後、とび・土工・コンクリート工事業の一部廃業を行ってください。
もうひとつは、解体工事業許可の技術者要件に関するものです。nn施行日時点でとび・土工・コンクリート工事業の技術者に該当する者は、5年間(2021年〈平成33年〉3月31日まで)はこの後説明する新しい解体工事業許可の技術者資格の他に、既存のとび・土工・コンクリート工事業の技術者資格でも解体工事業の許可が認められます。
2021年4月1日以降は新しい解体工事業の技術者資格のみでの申請となります。
これらの経過措置は、現行の解体工事業者への影響に配慮したものですが、技術者資格要件の経過措置期間満了後は、新しい要件での資格または実務経験が必須となるので、継続的な解体工事請負を視野に入れた新たな技術や資格での解体業許可保有が望ましいでしょう。
次に、新たな解体工事の技術者資格についてみていきます。
解体工事業の資格について
解体工事業の技術者要件は以下のとおりとなりました。
監理技術者のための資格
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- 1級土木施工管理技士(平成27年度までの合格者については解体工事に関する実務経験1年以上または登録解体工事講習の受講が必要)
- 1級建築施工管理技士(平成27年度までの合格者については解体工事に関する実務経験1年以上または登録解体工事講習の受講が必要)
- 技術士(建設部門、総合技術監理部門〈建設〉当面の間解体工事に関する実務経験1年以上または登録解体工事講習の受講が必要)
- 主任技術者としての要件を満たす者(後述)のうち、元請けとして4500万円以上の工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験を有する者
発注者から直接工事を請け負った建設業者(元請け)はその下請契約の請負代金の金額が4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)となる場合は主任技術者に代えて上位の技術者を配置しなければなりません。この主任技術者に変えて配置しなければならない上位の技術者が「監理技術者」です。
主任技術者のための資格
前述の監理技術者の資格に加え、
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- 2級土木施工管理技士(土木)〈平成27年度までの合格者については解体工事に関する実務経験1年以上または登録解体工事講習の受講が必要〉
- 2級建築施工管理技士(建築、躯体)〈平成27年度までの合格者については解体工事に関する実務経験1年以上または登録解体工事講習の受講が必要〉
- とび技能士(1級、2級※2級の者については合格後、3年以上の解体工事の実務経験を要する)
- 解体工事施工技士(建設リサイクル法の登録試験)
- 解体工事業における指定学科である土木工学または建築学に関する学科の大卒なら3年以上、高卒なら5年以上の実務経験。その他学歴問わず10年以上の実務経験を有する者
- とび・土工・コンクリート工事業の主任技術者(平成28年5月31日の時点で既存の者、ただし、平成33年3月31日までの間に限る)
建設業者は、元請け・下請け、金額の大小に関係なく全ての工事現場に必ず技術者を配置しなければなりません。この全ての現場に配置しなければならない技術者が「主任技術者」です。
⇒ちがいを知ろう!専任技術者、主任技術者、監理技術者
解体工事の実務経験年数について
実務経験年数の取り扱いについても整理が行われました。
解体工事の実務経験年数は、新法施工前の旧とび・土工工事の実務経験のうち、解体工事にかかる経験年数を実務経験年数とします。
また、その算出方法は請負契約書で工期を確認します。その際、1つの契約書で解体工事以外の工事も合わせて請け負っているものについては、その契約の工期を解体工事の実務経験年数として算出できます。
まとめ
今後、新規申請や業種追加の手続きが必要になるのは確実です。解体工事業を営む皆さんは早々に準備をしてこの新しい「解体工事業」の許可をとることが必須になります。元請けからの発注書や契約書などを整理して保管しておくとその後の手続きもスムーズに進みます。
また、今のうちに必要な資格の取得もしていくことをおすすめします。