建設業許可|経営業務の管理責任者(略して経管)を詳しく説明!
あなたは建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者(略して経管【けいかん】)という人物が必要だということを知って色々なページを見てきたのではないのでしょうか。
実は、この経管の要件が満たせずに許可の取得を断念する方は残念ながらとても多いのです。
ちょっと考えてみてください。
「経営」[業務」「管理」[責任者」と、固い言葉が並びます。それがイメージさせるように、とても重要な役割です。
工事という危険な仕事を完成させるめ、大きな金額を扱い、多くの下請先などの関係先と関わる建設業において、重い責任を背負う人です。やはりそう簡単に誰でも成れるものではありませんよね。それだけハードルが高いのは事実です。
許可を取得するにあたっていくつも必要な条件(要件といいます)があり、様々な立場の登場人物や専門用語が出てくるので難しく、頭を悩ませていませんか?
ここでは専門用語をなるべく避けて難しい言葉を使わずに、「経営業務の管理責任者」について詳しく説明していきます。
どうぞ最後まで読んでいただき、ご参考にしてください。
経営業務の管理責任者(経管:ケイカン)とは
建設業許可をとるにあたって、その会社の中に建設業に関して経営経験のある人がいるかどうかを求めている条件が経営業務の管理責任者に関する要件です。
その条件をクリアするには以下の大きく3つのことが必要になります。大きいのでここでは大条件とします。
-
- 大条件① 建設業に関するしっかりとした経営経験がある人がいる
- 大条件② その人が会社の役員としてきちんと(=常勤で)勤務している
- 大条件③ ①と②のことを証明する資料を用意できる
これからこの大条件をクリアできるかどうかをひとつひとつ確認していきます。
大条件① 建設業に関するしっかりとした経営経験がある人がいること
この大条件をさらに分解するとこうなります。
-
- ①−1 建設業の経験
- ①−2 しっかりとした=一定の期間の経験
- ①−3 経営者としての経験
これらの経験は許可を申請しようとする会社での経験に限りません。
前職の会社での経験でもOKなのです。また、前々職の会社の経験と合わせることもできます。
①−1 建設業の経験
もちろん建設業の経験はあるよ、と思われるかもしれません。
ここで言う建設業の経験とは何を意味するのかというと、29種ある業種の中であなたの経験した建設業の業種は何だったのかということです
選択肢は一旦大きく2つに絞られます。あなたの今まで経験した建設業が
-
- これから許可を受けようとする業種の建設業の場合
- これから許可を受けようとする業種以外の建設業の場合
①−2 しっかりとした=一定の期間の経験
一定の期間とは建設業を行っていて、かつ経営者として経験した期間のことです。5年以上と6年以上という基準があります。
上の①−1で説明しましたあなたの経験した建設業が
1.これから許可を受けようとする業種の建設業の場合・・・5年以上の経営者としての経験
2.これから許可を受けようとする業種以外の建設業の場合・・・6年以上の経営者としての経験が必要です。
建設業の内容や経験の種類に応じて、必要な年数が規定されています。6年以上の経営経験があれば29種のどの業種も許可を受けることができます。
①−3 経営者としての経験
経営者とはいくつか種類がありますが、以下の3つにまとめることが出来ます。
-
- 会社の役員、個人事業主、令3条の使用人
- 会社の執行役員
- 経営業務を補佐していた者
基本的にはこの中では1のグループの立場の人が経営者となります。
2と3でも経営者として認められる措置もありますが、例外的な措置です。2と3の経験で建設業許可取得を目指そうとする場合は事前に役所に相談しながら進めていくことになります。
建設業法施行令第3条に規定する使用人のことで、具体的には営業所で請負契約の見積り、入札、契約締結などの一定の権限を委任された責任者である営業所の支店長や営業所長のことを指します。個人の場合は、支配人登記をした支配人も含まれます。令3条の使用人として認められるためには建設業許可を受けたときに令3条の使用人として登録されていることが必要になります。
ここまでをまとめると大条件①をクリアするためには
①−1 建設業の経験の2パターンn①−2 しっかりとした=一定の期間の経験の2パターン
①−3 経営者としての経験の3パターン
があることをみてきました。この中から以下の表のように組み合わせていくことで経管になるための大条件①をクリアできます。
許可を受けようとする業種 | 5年以上 | 会社の役員、個人事業主、令3条の使用人 | 経験のある業種のみクリア |
会社の執行役員 | |||
6年以上 | 経営業務を補佐していた者 |
例えば屋根工事の許可を受けようとしている場合に、過去に屋根工事業を行っていた会社で役員として5年以上の経験があれば、屋根工事についての経管の大条件①がクリアになります。
経営業務を補佐していた者の場合は6年以上の経験が必要となります。
許可を受けようとする以外の業種 | 6年以上 | 会社の役員、個人事業主、令3条の使用人 | どの業種についてもクリア |
例えば屋根工事業の許可を受けようとしている場合に、過去に管工事業を行っていた会社で、役員として6年以上の経験があれば屋根工事業だけでなく全ての業種において経管の大条件①がクリアになります。nn同様に個人事業主として何らかの業種で6年間の経験があればクリアです。
ここまでは大条件①「しっかりとした経験があるか」についてみてきました。
次なる大条件②をクリアできるかをみていきます。n
大条件② その人が会社の役員としてきちんと(=常勤で)勤務している
これをまた分解すると以下の2つです。
-
- 役員となっているか
- きちんと(常勤で)勤務しているか
1. 役員となっているか
役員とは、代表的なものでは株式会社の取締役・執行役、有限会社の取締役などををいいます。
-
- 個人事業主本人を除いて登記が必要となります。
- 法人の場合で監査役や会計参与は建設業許可においての役員とはなりません。
2. きちんと常勤で勤務しているか
常勤とは原則として本社・本店などに休日その他勤務を要しない日を除いて通勤し、毎日所定の時間内きちんと働いている事を言います。
経管として日常の経営業務を適正に行うにはこの「常勤」であることが必要になります。単に経管となる人を雇い入れただけということでは不十分ということです。
常勤となっている時期について
経管の候補となる人は建設業許可を申請する時までに常勤で勤務していればOKです。
申請する会社に在籍していた期間は要件とされていません。許可を申請する前日に雇用されたとしてもOKです。