産業廃棄物収集運搬業の経営で、まもるべきこと・必要なこと
産業廃棄物収集運搬業を営もうとするときに企業として拠り所となるポイントがあります。
企業ですから利益を求めるのは当然ですよね。そのためにはお客様からの信頼や満足度を高めていくことはとても重要なことです。
また、限られた資金や時間の中で効率的に事業を進めていかなければなりませんよね。
この記事では企業を取り巻く多くのリスクを回避して、企業としての発展、地域へのお役立ち、社会的地位の向上につなげるための体制づくりのポイントについて見ていきたいと思います。
法令遵守
第一には関係法令を守ることが大切です。
「やっぱりそれか、堅苦しい話か」と思わずにどうぞもう少しお付き合いください。
法令、法律というとすぐに「面倒くさい」と、食わず嫌いされている方も多いかもしれません。普段法律と向き合うということはそうそうあることではないでしょうから、仕方のないことだと思います。
しかし、堅い話の中にも本当に大切な部分もあるのです。
産業廃棄物収集運搬業の経営には、廃棄物についてまとめた「廃棄物処理法」だけではなく、多くの法令が関わっています。
お客様から信頼を得るためには、誰から見ても健全な企業としてやっていく必要があり、そのためにこれらの法令を守ることは外せません。
コンプライアンスとは
最近ほんとうによく聞く「コンプライアンス」は法令遵守(ほうれいじゅんしゅ)と訳されます。
ルールを守って公正に業務を行うというような意味です。あたりまえのことですが、ルールを守ることがトラブルを回避して、結果的には自社を守ることにも繋がるのです。
収集運搬業は、「人」が「車」を使って「廃棄物」を収集し、運搬する事業です。そのため、
人、車、廃棄物
のそれぞれについて、法律を守ることになります。以下おおまかに説明していきます。
人に関して
人を雇用するにあたって守らなければならない法令は、労働基準法、労働安全衛生法があります。
労働基準法
労働条件に関する最低限の基準を示しています。
労働安全衛生法
労働者の安全と健康の確保および快適な職場環境をつくることを目的としています。
車に関して
車を運行するにあたって守るべき法令には、道路交通法、道路運送車両法があります。
道路交通法
安全運転の順守、飲酒運転や過労運転や過積載の禁止など、車の運行に関する基本的な事項を定めています。
道路運送車両法(運送法)
車の登録や安全性の確保、整備に関することを定めています。
産業廃棄物に関して
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
廃棄物の適正な分別、保管、収集運搬、処分の基準や手続きを定めています。
社内での周知
法律を全て理解するのは難しいこともありますが、積極的に専門の組織の設置や責任者を置くなどして、従業員全員である程度把握しておくことが必要です。
定期的に勉強会などを開いて産業廃棄物に関する知識を共有するのもいいでしょう。
また、廃棄物処理法のように、頻繁に改正されるものもありますので、最新の情報を仕入れやすいような状況(例えば詳しい専門家に相談できる環境など)を整えておくことが望ましいです。
経営方針
企業の活動理念に基づいて経営方針を定めて、従業員やお客様である排出事業者に対して明示しましょう。従業員に周知することで、全員が同じ方向を向いて進んでいけるでしょう。
経営のリスク
経営方針は
-
- 地域性
- 取り扱う廃棄物の種類、量
- 排出事業者の件数や立地
- ニーズを上回る過剰な資材保有
- 市場の取引状況、景気
- 周辺同業他社の状況
などを十分に考慮して、無理のないものを掲げましょう。また、経営状況に合わせて時々見直しましょう。
やってはいけないのが
-
- ニーズを大幅に上回る過剰な機材の保有による非効率な経営
- 保有機材の能力を上回る受注での過積載や、過重労働
- 従業員の知識、技術を越えた廃棄物の取り扱いにより発生する事故
経営資源の管理
人材管理や車両管理など、限りある経営資源と呼ばれるものの管理が必要です。
資格・許可品目・許可地域などを追加し、人員・車両を増やしていくかどうかを検討することは事業拡大を目指す上ではとても重要な事です。
反対に経営環境の変化によっては、業務の縮小を検討することも必要でしょう。
また、不適正処理・過積載・過重労働などの違法行為に繋がる事のないように、社内教育をすることも立派な管理のひとつです。
サービスの提案活動
守っているだけでは仕事は入ってきませんから、攻めることも重要です。
営業のプロである皆さんに私などが申し上げることはございませんが、廃棄物収集運搬業には、その形態独自のサービスというものがあります。
これをいかに適切に付加価値の高いサービスに変えてお客様に提案するか、というのはポイントだと思います。ここでも教育が生きてくるはずです。
収集運搬業者はその仕事の性質から、排出事業者と処分業者の双方と取引があります。いわば、橋渡し役といってもいいでしょう。
その立場から排出事業者における廃棄物の、「排出状況」「分別方法」「前処理方法」「性状の変化」
を知ることができ、また処分業者の
「保管状況」「施設の稼働状況」
などを正確に把握することができます。この情報や顧客のニーズを元に自社の技術力などで貢献できるポイントを探ることで、提案できるものが浮かんできませんでしょうか。
お客様目線で発想することでチャンスがあるのではないでしょうか。
産業廃棄物収集運搬業の経営で、まもるべきこと・必要なことまとめ
いかがでしょうか。収集運搬業を営むのにここまでの知識をいれておいても損はないはずです。
時間と手間はかかりますが、まずは法令遵守の知識をつけることが大事でしょう。
社内全員でコンプライアンスの意識を持ち、周知していきましょう。そして廃棄物のプロとして圧倒的な知識でお客様を獲得し、貢献していってください。
この記事が少しでもそのきっかけになれたら幸いです。n