建設業許可|建設業の会社設立をするときは定款のここに気をつけよう

あなたが今まで個人事業主として建設業を経営してきていて、事業の規模を大きくしたいと思ったときには、会社を設立することを考えるのではないでしょうか。

また、このタイミングに合わせて新規に建設業許可を取得したいと考える方も多くいらっしゃいますし、逆に建設業許可を取る前に会社設立をしてしまおう、という方ももちろんいらっしゃるでしょう。

この記事では、新規に会社を設立して、その後に建設業許可の取得を考えているときに気をつける事について説明していきます。

これを読むことで、後からの二度手間や余計な費用をかけることなくスムーズにあなたの会社をスタートさせる方法を知ることができます。

目次

定款作成

会社を作る時には定款(ていかん)という書類を作成します。読みにくい漢字ですし、この漢字からはイメージも湧きにくいかもしれません。

定款とは、よく「会社の憲法」とも言われますが、会社を運営するのに必要なルールを定めたものになります。例えば、会社の名前、本店の所在地、事業目的、出資金などです。

定款は必ず作らなければならないと決められています。

建設業許可の取得を考えている会社がこの定款を作るときに注意していただきたいポイントは、次の3つです。

建設会社を設立するときに注意するポイント3つ

    1. 事業目的
    2. 資本金設定
    3. 役員の登記

それではひとつずつ見ていきましょう。

1.事業目的

その会社が何をする会社なのかを明確にします。これを最初に掲げます。

あなたの会社は建設業でしょうから、事業の目的は建設業許可申請を前提としている業種の工事ですよね。例えば、管工事業や電気工事業などです。

建設業の許可は条件さえ満たせば、一度にいくつの業種も取れることがあるので、今すぐではなくてもいつか取りたいと思っている業種があるのなら、最初から事業目的に入れておきましょう。

今は要らないけれども将来必要になりそう、取得したいと思う業種があれば記入しておいてください。事業目的に掲げたからといって必ずしもその仕事をしなければいけないわけではなく、またスグにその業種の許可を取らなければならないというわけでもありません。

また、建設業の業種は特定しなくても何種類かの工事をカバーできる事業目的の書き方というのもあります。

事業目的「土木工事の請負、施工」または「土木工事業」
⇒ 土木一式工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、鋼構造物工事、ほ装工事、しゅんせつ工事、塗装工事、防水工事事業目的「建築工事の請負、施工」または「建築工事業」
⇒ 建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事

また、電気工事、管工事、機械器具設置工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、消防施設工事、清掃施設工事の各工事については、それぞれ目的別に明記されていないと定款の目的変更をしなければならないこととなりますので、注意しましょう。

例)電気工事 ⇒ 「電気工事の請負、施工」または「電気工事業」

後述しますが、もし後から追加したいと思ったら事業目的の変更、追加はできますが、費用と手間がかかることになります。

2.資本金設定

建設業許可を取りたいのなら、財産的基礎の要件をクリアする必要があります。

新規に会社を設立する場合には、資本金を500万円以上に設定しましょう。

そうすることで、設立初年度中は自己資本が500万円とみなされるため財産的基礎の要件を常にクリアしている状態となります。

建設業許可申請時に、財産要件を満たしていることを証明するための残高証明などをわざわざ取る必要がなくなります。

財産的基礎の要件についてはコチラに詳しい記事をご用意していますので、ご一読ください
建設業許可|財産要件とは?許可の申請にお金はいくら必要?

 

3.役員の登記

nもし、あなたの会社の後継者が決まっているようでしたら、その人を役員にしておいて、経営業務の管理責任者(以下、略して経管)の要件を満たせるように準備しておきましょう。

あなたが引退を考える時に、建設業の許可をスムーズに引き継ぐことができます。

経管になるための要件を満たす人は、なかなかいないのが現状です。

経管になる人がいないから、建設業の許可申請をあきらめなければならない、というパターンがとても多いのです。あなたの会社がそうならないように先を見据えて準備しておきましょう。

経管になれる人の条件として、許可を取得しようとする業種に関する建設工事業なら5年以上、許可を取得しようとする業種以外の建設工事業なら6年以上の経営経験(役員となっている期間)が必要になります。

5年や6年というのは、結構長い期間ですよね。気づいたときにあわてることのないよう、準備しておきましょう。せっかく取った許可を無駄にすることにもなりかねません。

経営業務の管理責任者についてはコチラで詳しく解説しています。ざっと目を通しておくことで、あなたの貴重な5年〜6年を無駄にせずに済むかもしれません。
経営業務の管理責任者(略して経管)を詳しく説明!

定款の変更(事業目的の変更)

定款の変更といっても、元の定款を書き替えるわけではありません。

定款の変更とは、株式会社であれば株主総会(合同会社であれば、社員総会)で定款の変更を決定して議事録に残すことを言います。

その後、事業目的の変更は定款変更の登記をする必要がありますので、法務局へ申請します。事業目的の変更にかかる費用としては、登録免許税が3万円必要になります。

また、株式会社の場合は、原始定款を作った時に公証役場で定款認証をしたと思いますが、この場合はその必要はありません。

建設業の会社設立をするときの定款 まとめ

会社設立をする時に、少し気をつけておくだけで後から余分なお金や手間をかける必要がなくなります。

事業目的資本金の額役員を誰にするのか

この3つに注意してみてください。

そんなに難しいことではないと思いますので、この記事を参考にしていただいてスムーズに建設業の許可申請ができるようにお役立てください。

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