産廃収集運搬業許可|産業廃棄物に関する許可の全体像

産業廃棄物処理業の許可ってなに?どういうふうに決められてる?難しそう。そんなイメージがあるかもしれません。

ここでは許可の全体像についてみていきます。

目次

制度概要

廃棄物処理法では許可制度をとっています。廃棄物の処理は排出者自らが行う他は、処理業として行うためにはその区域を管轄する市町村長又は都道府県知事などの許可を受けなければなりません。

一般廃棄物は原則として市町村が処理を行いますが、事業系廃棄物を中心に一般廃棄物処理業の許可を持つ業者に委託することができます。

なぜ許可制なのか

「許可」とは法律的な解釈では、一般的には禁止したうえで認められたものに対してだけ「やってもよい」とすることです。廃棄物の処理を許可制にしている理由は2つあります。

    1. 生活環境保全のため
    2. 不法投棄などの不適正処理を防止するため

1について

「誰でも自由に廃棄物を処理してよい」としてしまうと科学的な知識や処理能力がない者が廃棄物処理を行う場合に、何もわからないので放置してしまいかねません。

腐敗臭が漂うなかで生活をするのは誰でも嫌なはずです。廃棄物を処理するための確かな知識と能力を持ったものにまかせることで生活環境を保全することができます。

2について

産業廃棄物は委託の際に廃棄物の受け渡しと同時に処理料金が支払われるため、産業廃棄物処理業者がその処理コストを無視して不法投棄などの不適正処理を行うなどといったことがあるかもしれません。

そのようなことがないように必要な施設と能力をもち、欠格要件にあたらない事を審査した上で、適正な処理をすることが出来るものにだけ廃棄物の処理を認めるとしています。

不適切処理をすると

廃棄物の処理を委託して行う場合でも産業廃棄物の処理責任は排出事業者が負います。

委託先の産廃業者が不法投棄や不適切な処理を行った時には、産廃物をその業者に委託した事業者が不法行為の責任を問われて罰せられるということです。たとえ適切な契約内容で他人に処理を委託したとしても、排出者側が責任を問われる可能性があるので十分な注意が必要です。

書面に不備、不適切な運用があると

措置命令の対象となります。委託基準法違反に問われて5年以下の懲役、1000万円以下の罰金となる可能性があります。

産廃処理において重要な書面が2つあります。それは「処理委託契約書」「マニフェスト」です。

「処理委託契約書」は、産業廃棄物の処理を委託するために結ぶ契約書で、法定要件を満たした書面により契約をすることが法律で定められています。

「マニフェスト」とは、締結した処理委託契約書に基づいて産業廃棄物を処理業者に引き渡す際に排出事業者が同時に交付する必要がある、とされている産業廃棄物管理票のことです。マニフェストの交付も排出事業者に課された法律上の義務です。

許可は2段階

廃棄物処理法に定められた許可は2段階に分かれています。

「施設の設置許可」「業の許可」と呼ばれるものです。

施設の設置許可とは

自ら処分を行う場合でも、業として行う場合でも廃棄物を処理する施設については法に定める基準に従って事前に設置許可の申請をする必要があります。めでたく許可が下りた後にはじめて施設の設置が可能となります。

この場合の「施設」とは建物や場所のことではなく、処分を行うための設備のことをいいます。最終処分場では、処分場そのものが処理施設に該当しますが、中間処理の場合は破砕機や圧縮機などの設備一つ一つが施設に該当します。

処理能力が低く、公害が発生するおそれが小さい施設は設置許可を必要としません。しかし、自治体によってはその小さい施設に対しても設置許可を必要とする条例を定めている場合もあります。

収集運搬業に関しては保有する車両が施設に相当しますが、保有に際して施設の設置許可は不要です。

なお、施設の設置許可は設置に対する許可なので、期限は設けられていません。

業の許可とは

廃棄物処理業を営むためには廃棄物処理業の許可が必要です。あたりまえですね。こちらには期限が設けられていますので、事業を継続するためには更新の申請を行う必要があります。

    • 産業廃棄物処理業許可 5年
    • (同)優良認定事業者 6年
    • 一般廃棄物処理業許可 2年

廃棄物処理業は一般廃棄物処理業と産業廃棄物処理業に分かれ、またそれぞれに収集運搬業、処分業の区分があります。

さらに収集運搬業は積替え保管を伴う/伴わないに区分されます。

これらのうち、許可を得た業の範囲でしか営業することはできません。

一般廃棄物処理業の許可

一般廃棄物の処理は市町村が行うものです。業の許可も範囲も市町村単位が原則です。市町村長がその許可権限を持っています。ただし、申請すれば誰でももらえるものというわけではなく、以下2つの条件を満たす必要があります。

    • 当該市町村が処理を行うことが困難であること
    • 市町村が決める一般廃棄物処理計画に記載された条件に基づくこと

産業廃棄物処理業の許可

産業廃棄物処理業の許可権限は、積替保管を伴わない収集運搬業は原則として都道府県知事に、積替保管を伴う収集運搬業と処分業は都道府県知事または政令市長にあります。

産業廃棄物処理業の許可は上の一般廃棄物処理業の場合とは異なり、許可申請が正しい内容でされたなら、都道府県知事または市長は申請者に対して許可を与えなければならないとされています。

産業廃棄物の処理は地域をまたいで行われるのが一般的です。発生した場所と処分を行う場所が同じ都道府県内にはないこともよくあります。一般廃棄物よりも範囲が広いイメージですね。このため、廃棄物を積み込む都道府県と荷卸しをする都道府県のそれぞれから許可を取得する必要があります。

まとめ

いかがでしょうか。

少し複雑ですが施設の設置許可/業の許可、一般廃棄物の許可/産業廃棄物の許可、収集運搬業のなかでも、積替保管の有り/無しに分けられますので、ご自身がどの許可を取得したいのか検討する際の参考にしてみてください。

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