建設業許可|専任技術者(略して専技)を詳しく説明!
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建設業許可を取得するにあたってクリアするべき要件の中に、「専任技術者を営業所ごとに置く」というものがあります。
ところで私たちは毎日必ず、いくつもの建設物にふれます。というか、建設物に囲まれて生きています。
もしも建設業者が作った建築物や土木工作物が何の技術的根拠もない、しっかりとしたものでないのであれば、いつ壊れるかも分かりません。私たちは安心して暮らす事ができません。安心して毎日を過ごすためには絶対に、建設業者の優れた技術が必要です。
専任技術者(略して専技:センギ)とはそういった重要な技術的な部分を担当する責任者のことです。
専技の設置は、その建設業者がきちんとした技術を持っていることの裏付けとして許可取得の要件に掲げられています。
ここではその専技について詳しくみていきます。
専任であること
専任のものとはその営業所に常勤し、もっぱらその職務に従事する者をいいます。
ですので次のような者は「専任」と認められないので注意してください。
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- 住所が勤務する営業所から著しく遠距離にあり、普通に考えて通勤不可能な者
- 他の営業所(他の建設業者も含む)の専任技術者になっている者
- 他の法律によって専任制を要するとされる者を兼ねている者(ただし、同一企業で同一の営業所である場合は兼ねることができるものもあります)
- 他に個人営業を行っている者
- 他の営業所などについて専任に近い状態にある者
- 県議会議員や市議会議員などの兼職者
資格または実務経験があること
許可を受けようとする建設業に対応する一定の知識を必要とするため、資格または実務経験のどれかをクリアしていることが求められます。
資格
許可を受けようとする建設業に応じて定められた国家資格など
実務経験
学歴・資格を問わず、10年間の実務経験
学歴+実務経験
高校の所定学科卒業後5年以上の実務経験
大学の所定学科卒業後3年以上の実務経験
⇒専任技術者を実務経験で認めてもらうためには
特定建設業での専技の要件
特定建設業の専技の許可基準は下請け業者保護のため、一般建設業よりも要件が厳しく設定されています。
資格
許可を受けようとする建設業に応じて定められた国家資格など
経験
一般建設業に求められる資格+元請として4,500万円以上(消費税を含む)の工事について2年以上の「指導監督的な実務経験」
指定建設業
以下7業種は「指定建設業」とされていて、特定建設業のなかでもさらに要件が厳しくなっています。
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- 土木工事業
- 建築工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- 鋼構造物工事業
- 舗装工事業
- 造園工事業
この7業種について「特定建設業」の許可を受けようとする専任技術者は1級の国家資格が必要になります。
専任技術者の実務経験要件の緩和措置とは
学歴を問わない実務経験は許可を受けようとする業種に関して10年間必要だと上で説明しました。
しかし例外的に、許可を受けようとする業種と技術的な共通性がある業種での実務経験であれば、求めている業種の実務経験として振り替えてカウントできる緩和措置があります。
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- 許可を受けようとする業種の実務経験8年以上
- ↑と共通性がある業種の実務経験
- 1+2で12年以上あるとき
共通性があれば何でも良いというわけではなく、以下の11種類が規定されています。振り替えできるのも→の示す方向だけです。
①土木一式工事、建築一式工事から専門工事へ振替えできる場合
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- 土木一式工事→振り替え→ とび・土工・コンクリート工事
- 土木一式工事→振り替え→ しゅんせつ工事
- 土木一式工事→振り替え→ 水道施設工事
- 建築一式工事→振り替え→ 大工工事
- 建築一式工事→振り替え→ 屋根工事
- 建築一式工事→振り替え→ 内装仕上工事
- 建築一式工事→振り替え→ ガラス工事
- 建築一式工事→振り替え→ 防水工事
- 建築一式工事→振り替え→ 熱絶縁工事
②専門工事業間での振替え
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- 大工工事→振り替え→内装仕上工事
- 内装仕上工事→振り替え→大工工事
大工工事と内装仕上工事はお互いに振替可能です。
つまり、この場合は大工工事の経験8年と内装仕上工事の経験8年の合計16年の経験があれば2業種が取得でき、最大4年間の期間短縮ができることになります。
専任技術者の確認書類について
建設業許可の申請において、要件を満たしているかどうかは全て、書面で確認することになっています。
ここで覚えておいていただきたいのは確認が一番簡単なのは資格で証明する場合ということです。資格を持っているという合格証や修了証書などを示せばそれで完了です。
ですので資格を所持しているということはとても大きなメリットになります。
資格以外で証明する方法は実務経験となります。実務経験を証明する書類は多岐にわたりますので、ここが書類集めにおいて大変な部分となってきます。
以下で確認書類をみていきます。
①資格確認書類
技術者の要件が国家資格の場合はその「合格証書」や「免許証」nn技術者の要件が大臣認定の場合はその「認定書」
②学歴証明書類
所定学科の「卒業証明書」原本の提示とコピーの提出
③実務経験証明書類
実務経験証明書で実務経験の内容が確認できるものnn証明者が許可がある場合・・・建設業許可通知書の写し
証明者が許可がない場合・・・工事請負契約書、請書、注文書の写し(証明期間分)
個人業者の場合・・・確定申告書控、所得証明書および契約書などnn指導監督的な実務経験を証明する場合・・・工事契約書の写し
④常勤確認書類
住民票(発行後3ヶ月以内のもの)
健康保険被保険者証(写し)
源泉徴収簿、賃金台帳、出勤簿など
本人の住所と営業所が離れている場合
車通勤の場合・・・通勤経路図、運転免許証、車検証の写し
車通勤以外の交通手段の場合・・・通勤経路図、定期券の写し
まとめ
建設業許可をとるために設置することとされている専任技術者についてみてきました。
専任技術者として認められるのに必要な要件は、専任であることと資格または実務経験です。
一般建設業許可か特定建設業許可か、また業種によっても必要となる資格などが変わってきます。
また、前職の立場等により証明する書類も変わってきます。
繰り返しになりますが、揃える書類の簡素化という視点からお勧めは、実務経験で証明するよりも資格の取得です。応募期間はいつからか、試験はどれくらいの難易度か、まずはチェックしてみましょう!n