産廃収集運搬業|積替保管をしたいんだけど。。そのメリット・デメリット
産業廃棄物収集・運搬業をおこなうにあたり、積替保管ができるといいよ、と聞いたことはありませんか?普通の収集運搬業と何が違うのでしょうか。
ここでは産業廃棄物収集運搬業での積替保管について詳しく見ていきます。
積替保管とは
運搬途中に廃棄物を車から降ろして、一時保管と積替えを行うことです。
産廃収集運搬業者は工事現場などで運搬車両に産業廃棄物を積みこんだら、原則的にその日のうちに処理場に直行し、処理業者に引き渡さなければなりません。
しかし、そうすることによりいろいろな廃棄物が混在した状態のまま、あるいは少量でも処理業者に持ち込まなければならず、不経済といえます。
そこで、積み込んだ産業廃棄物を許可を受けた場所でいったん降ろして有価物と無価物に選別したり、廃棄物を一定量ためてから運搬して運送コストを削減しようというのが産業廃棄物の積替保管です。
例えば2トン車で収集したものをそのまま処分場まで持っていくのは効率が悪いので、一度保管場所に集積して、10トン車に積替えて処分場まで運搬するということです。
こうすれば単純に5往復していたものが1往復ですむことになり、5倍効率的です。n
積替保管の許可
積替保管の許可は単独では取得できません。収集・運搬業許可に積替保管を含む形で付与されます。また、積替保管を含む許可は処分業の許可と同様に都道府県または許可権限を持つ政令市単位で取り扱われます。
収集運搬許可と積替保管許可の違い
収集運搬の場合
積替保管の場合
積替保管のメリット・デメリット
積替保管にはメリットもありますが、デメリットもあります。
メリット
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- 一定量の廃棄物が溜まってから運搬できるので運搬回数が減り、運送コストが削減できます。
- 収集した廃棄物の中から鉄やアルミなどの有価物を選別して抜き取り、売却することができます。
- 混合ごみを品目ごとに選別して処理コストを削減できます。資源の有効活用という意味でも大切なことです。
- 自治体によっては他社の産業廃棄物の受け入れが可能になります。
デメリット
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- 廃棄物の混合、抜き取りにより「廃棄物の発生から最終処分までの一連の工程の把握」が極めて困難になります。
- 産廃収集運搬業の「積替保管を含む」の許可を受ける必要があります。
- 自治体、立地によっては保管施設の設置が困難です。(ちなみに静岡県では原則として積替保管は認められていません)
保管基準
産業廃棄物の保管基準は主に以下のようなものです。
・保管場所の周囲には囲いを設けること
・保管場所にはその旨を記した看板を設置すること
・ねずみ及び蚊、はえ、その他の害虫の発生防止措置をとること
・汚水が生ずる恐れがある場合は排水溝等を設置し、床面を不浸透性の材料で覆うこと
・屋外で容器を用いずに保管する場合には高さの制限を超えないこと
・産業廃棄物が飛散、流出、地下浸透、悪臭発散が生じないようにすること
・産業廃棄物の保管に関して必要な事項を表示した看板が見やすい場所に設けられていること
積替保管施設の保管基準
積替保管を行う施設のことを「積替保管施設」といいます。そのままですね。nn積替保管施設の場合は上記の保管基準に加え、さらに以下の基準が増えます。
・あらかじめ積替後の運搬先が定められていることnn・搬入された産業廃棄物の量が積替え場所において適切に保管できる量を超えないこと
・搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること
・積替保管量の上限は平均搬出量の7日分を超えないこと
処分再生を行う場合は「1日の処理能力の14倍(14日分)」ですが積替保管の場合は「1日あたりの平均搬出量の7倍(7日分)」となります。
また「平均的な搬出量」とは帳簿に記載する搬出量を保管場所ごとに集計した場合の前月分の数字を指します。
積替保管に該当しないケース
積替保管に該当するかどうかは、運搬行為が中断されたかどうかがポイントになります。
例えば運転手が休憩をとったり、待機をしたりなどで車が同じ場所にとどまっている場合、運搬行為は中断せずに継続されているといえます。
以下のようなケースは積替保管に該当しません。
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- 運搬途中に運転手が駐車場で休憩
- 運搬途中に事務所で運転手が交代
- 夕方に積み込み、翌朝処分場に降ろす場合
- 処分場が開くまで車を止めて待機している場合
積替保管に該当するケース(中間処理には該当しないケース)
n機械を使わない手作業での選別は中間処理ではなく積替保管とされることが多いです。しかし、自治体により判断が異なりますので最終的な判断に疑問が生じたら自治体に確認の問い合わせをしましょう。
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- 手作業により廃棄物の選別を行うこと
- 廃棄物から有価物を抜き出すこと
まとめ
いかがでしたでしょうか。
繰り返しになりますが、積替保管施設は運搬、移動の効率化からみると極めて有用です。廃棄物の広域移動は、産業廃棄物の再資源化の促進には必要な条件となるので更に有用性は高まりつつあります。
一方で、積替保管施設を利用することにより廃棄物の量や荷姿などが排出時と違ってきてしまうため、排出から処分完了までどの工程を通ってきたのかの経路を把握することが困難になるため、、排出事業者にとっては取扱いが難しい施設であるともいえます。