建設工事に該当しないもの|実務経験にならない兼業事業はコレ。
突然ですが、工事ってなんでしょうか。
普段あまり深く考えることが、有りそうでないものです。辞書で調べると、
土木/建築などの作業をすること。また、その作業「−中」「水道−」
となっています。土木/建築にも触れていますが、ひとことで言うと「作業」ということになります。
もしかすると、あなたが工事だと思って行ったその仕事は、単純なただの作業だったのかもしれません。
建設業法上でいう「建設工事」と、「一般に言う工事」とでは厳密には違うものなのです。言い換えると、建設業法の対象になるもの・ならないものの区別があるということです。
こんな事を言うと、「細かいことを言うなよ〜」という声が聞こえてきそうですが、実はこれは非常に重要なことなのです。
とくに、将来建設業許可を取ろうと考えている人は、必ず先に知っておかなければならないことです。
この記事では、それがなぜ重要な事なのかと、建設工事に該当しないものについて解説していきます。
これを知ることで建設業許可取得に向けて、無駄のない実績を残していくことができます。
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建設工事に該当しないものは実務経験にカウントされない
なぜ重要な事なのかというと、建設工事に該当しない「ただの工事」は建設業許可を取るときに必要になる「経営業務の管理責任者の経営経験」や、「専任技術者の実務経験」としてカウントしてもらえないからです。
ですから「何が建設工事に該当」して「何が該当しない」のかをまず知る必要があるのです。
もしこの事を知らずに建設工事に該当しない工事をどれだけ多く施工しても、自分の経験という意味では残るものもあると思いますが、それは建設業許可の取得のためには意味のない経験となってしまいます。
これは非常に惜しいですよね。
しかしながら、弊事務所へご相談に来られる方の中にもこの事をご存じない方は非常に多くいらっしゃいます。そして建設工事としてカウントできないために許可の要件を満たせないということになってしまいます。
建設業許可を取るためには確実に「建設工事」を施工し、契約書、見積書、請求書にもそれとわかるように記入しておく必要があります。
また、静岡県では人工出し・常用工事も認められませんので、この事は決して忘れないでください。
建設工事とは
では一体何が、建設工事に該当するものなのかを知りたくなることと思います。
しかし、公的な文書では次のように定義されているのみです。建設工事の定義はとても分かりにくいものです。
建設工事とは、土木建築に関する工事であって、広く建築物その他の工作物の全部または一部の新築、改築、または除去を含む概念であり、解体工事も含まれること。
環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号 平成23年2月4日
これをわかりやすい言葉に変えてみますと、
「建設工事とは、土地に固定されたものを作ったり、一部でも改造したり、外したり、壊したりすること」
となります。
いかがでしょうか、言っている内容としては非常に広い意味でとれてしまいますね。
建設業なので完成させる工事
さらに建設業とは「建設工事の完成を請け負う営業」と定義されていますので、建設工事とは「完成させるような工事」ということで考えていいでしょう。
「解体工事」は壊す工事なので、建てたり作ったりという「建設」というイメージからは少し遠い感じがしますが、「建物を取り壊し、撤去を完成させる」という意味で、立派な建設工事です。
建設工事に該当しないものとは
以上のことを踏まえると建設工事に該当しないのは次のようなものです。
-
- 保守、点検修理
- 維持管理に伴うもの
- 消耗部品の交換
- 運搬
- 土地に定着しない動産にかかる作業
- 調査のような作業
これらは建設工事の完成を請け負うという定義から外れるので、原則的に建設工事に該当しません。
他にも明確に建設工事に該当しないものとして挙げられているもの(静岡県の場合)を以下に列挙します。
除草 | 草刈り | 採伐 |
除雪 | 融雪剤散布 | 測量 |
地質調査 | 樹木の剪定 | 庭木の管理 |
造林 | 採石 | 調査目的のボーリング |
施肥等の造園管理業務 | 造船 | 機械器具製造・修理 |
建設機械の賃貸 | 宅地建物取引 | 建売住宅の販売 |
浄化槽清掃 | ボイラー洗浄 | 側溝清掃 |
コンサルタント | 設計 | リース |
資材の販売 | 機械・資材の運搬 | 保守・点検・管理業務等の委託業務 |
物品販売 | 清掃 | 人工出し、常用工事 |
社屋の工事 | 解体工事で生じた金属等の売却収入 | JVの構成員である場合のそのJVからの下請工事 |
これらの業務は建設工事には該当せず、兼業事業という扱いになります。
パッとみたところ建設工事に近い感じがするものもありますが、兼業事業とされてしまいます。
裏を返せば、この表にあるものは建設業法上の建設工事の対象とはならないので、施工金額が500万円以上になる場合でも建設業許可を取得する必要がないということになります。
建設工事に該当しないもの|実務経験にならない兼業事業はコレ。まとめ
建設業には29の業種があり、それぞれの工事がどういうものであるかは、建設業許可の手引などにもある程度例示されています。
しかし、工事は現場によって様々ですし、また時代の流れで判断がつきにくいような新しい工事も生まれています。
そして繰り返しになりますが、建設工事の定義というのは曖昧なので工事ごとに個別に内容を判断する必要があります。
都道府県によっても判断が違う場合もありますので、迷った場合は直接役所に聞いてみることをお勧めします。
是非参考にしてください。