建設業許可|社会保険加入は義務!しないとどうなる?その理由とは?

3821817105_dfa48f8697_z

数年前から社会保険についてなんだかうるさくなったなぁなんて話を聞いたことがありませんか?

そうです。厳しくなったのです。国土交通省は「保険未加入は許さない」という考え方で建設業者に対して指導しています。そうは言ってもちょっと社会保険の事は詳しくわからないという方もいらっしゃると思います。

ここで一緒におおまかな内容をみていきましょう。

目次

社会保険は強制加入

平成24年11月1日より、原則として許可申請時に健康保険、厚生年金保険および雇用保険に加入しているという書類を見せなければ、その許可を受ける知事または大臣から指導を受けることになりました。

 その背景には

現状では特に年金、医療、雇用保険に未加入の企業が存在しますが、労働者別にみていくと、3保険とも加入している割合は、元請79%、1次下請55%、2次下請46%、3次下請以下48%…と、発注元から遠い階層に行くに従って未加入業者が多い状況です。

これが何を意味するかというと、発注者からみて現場に向かうほど保険未加入という処遇の低さが際立ってくるということです。それが若者からの現場への就職不人気の一因となり、産業の存続に欠かせない技術の継承が困難になってしまいます。人手が足りず、技術者がいなくなり、負の連鎖へ向かってしまうのです。s_0001また、別の視点で見ると、きちんと加入している真面目な企業ほど、保険料の負担から受注競争上不利になるという、不公正な環境でもあります。

これらの環境をなんとか食い止め改善していこうと、国は社会保険への加入を猛烈に指導しているのです。

社会保険とは

それでは社会保険とは一体何なのでしょうか。

さまざまな定義の仕方があるようですが、ここでは雇用保険、健康保険、厚生年金保険のことをまとめて社会保険と言っています。

私たちの暮らしの中のリスクを支え合うための仕組みが社会保険です。

ひとつずつ例をあげてみます。

雇用保険

不景気の中で、仕事がなくなり失業してしまった時に一定期間失業手当が支給されます。労働者の生活と雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした、雇用に関する総合的な機能をもった制度です。

労働者を一人でも雇っていれば、雇用保険の加入手続きが必要です。

 

健康保険

労働者がけがや病気になったときに医療費の負担を減らす目的で設けられた公的な保険制度です。

けがや病気、またはそれによる休業、出産や死亡といった事態を迎えると思わぬ出費が必要となり、ときには収入も途絶えて生活が不安定になりますよね。

そうした事態に備えるために日ごろから加入者が保険料を支払い、それを必要な時に必要な人が保険給付を受けられるという仕組みになっています。

特に、体を痛めがちな労働ではけがや病気のリスクがあります。そんなとき、健康保険に加入していれば病院に行ったときに一定の自己負担だけで診療してもらうことができます。

 

厚生年金保険

公的な年金制度であり、主に老後の生活に困らないよう老後の収入を補う目的があります。

また、障害を負った時や本人が亡くなった時にも障害年金や遺族年金が給付されます。

受けられるたくさんの保障

この他にも、会社が社会保険に加入していることで被保険者(保険をかけられている人:従業員)にはたくさんのメリットがあります。さまざまなリスクの場面でも手助けをしてもらえるのです。

逆に会社側にとってはその費用が負担になります。毎月かかる費用はなるべく減らしたいのが心情です。とどのつまり、この心情が未加入の主な原因となっています。

例外として
健康保険と厚生年金保険については、例外として個人経営の事業所で従業員5人未満の場合は任意加入です。nまた、臨時の従業員として2ヶ月以内の期間を定めて雇用されている社員、日々雇い入れられる者、季節的業務に使用される者、臨時的事業の事業所に使用される者は加入できません

加入しないとどうなる?

%e4%ba%8b%e5%8b%99_%e8%85%95%e7%b5%84_02

もし現在、社会保険に加入していなかったとしても、ただちに建設業許可が不許可になってしまうということはありません。ご安心ください。しかしながらそのまま放っておくわけにはいきません。

 

指導される

1,許可を受ける知事や大臣(許可行政庁)から許可通知書と同時に指導文書が送付されます。これに対して建設業者は保険加入の報告をしなければなりません。

2,この指導に従わない場合は医療保健と年金保険は日本年金機構へ、雇用保険は都道府県労働局に通報され、厚生労働省の保険担当部局から来所要請や、戸別訪問による指導を受けることになります。

3,正当な理由がなく立入検査を何回も拒否するなど、再三の加入指導に従わず、違反状態が確認された場合は指示処分を受けることになります。

4,この指示処分に従わない場合は3日以上の営業停止処分が命じられます。

相当しぶとい猛者もいるということでしょうか。みなさんは素直に加入の手続きをとってください。逆らい続けてもいいことはありません。

その代わりに

保険加入のコストアップもちゃんと考えましょう、という決まりも作っています。

発注者及び受注者は見積もり時から法定福利費を必要経費として適正に考慮すべきであり、法定福利費相当額を含まない金額で建設工事の請負契約を締結した場合には、発注者がこれらの保険への加入義務を定めた法令の違反を誘発するおそれがあるとともに、発注者が建設業法に違反するおそれがある

元請企業から下請企業への指導の徹底

保険加入の取り組みを下請企業や現場作業人に浸透させるため、元請企業は再下請通知書や作業員名簿等を活用して確認、指導を行うことを定められています。

工事現場への立入検査で元請企業が下請企業への指導状況の把握・聴取をおこなっているかなどが確認されます。

下請企業への適正な指導が行われていない場合、許可を出した知事や大臣は元請企業に注意喚起を行います。

何重にもチェックが行われているということですね。

社会保険加入に関する建設業許可の要件

実際に許可を取ろうとするときには許可取得の要件である、「経営業務の管理責任者(経管)」の常勤性と「専任技術者(専技)」の専任制を確認するために社会保険の加入を証する書類の提出が必要になってきます。

経管と専技の要件についてはコチラでそれぞれ解説しています。これから建設業許可を取ろうとする方は是非ご一読ください。
%e5%a5%b3%e6%80%a7%e7%a4%be%e5%93%a1a_%e6%8c%87%e7%a4%ba%e6%a3%92_01経管になるための確認書類は用意できる?n専任技術者(略して専技)を詳しく説明!

まとめ

以上のように国土交通省が主体となって社会保険への未加入対策が進められています。今後は未加入業者への指導、取り締まりが更に厳しくなっていくことが予想されます。

今、建設業界は人手不足と技術継承が叫ばれています。

それを乗り越えるべく、社会保険で支えることで未来に向かって発展する事業者さまのお手伝いができればこんなに嬉しいことはありません。

是非社会保険への加入を前向きに検討していただければと思います。

よかったらシェアしてね!
目次